相続税・贈与税Q&A

相続のスケジュールについて、相続手続及びサポートをQ&A形式により解説します

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(1)相続発生前

Q1.相続税がかかるかどうか知りたい
A1.相続税がかかるかどうかは、相続財産と相続人の数により判断します。相続人が配偶者と子供2人の計3人の場合
5000万円+(1000万円×3人)=8000万円
相続財産が8000万円以下であれば相続税はかかりません。

Q2.遺言書を書いた方がよい場合とは?
A2.①子がなく、妻と兄弟姉妹が相続人となる場合
②孫や兄弟姉妹に財産をあげたい場合
③長男の嫁に財産をあげたい場合
④特定の人に事業を承継させたい場合
⑤再婚した夫婦の場合
⑥すでに相続人間が不和な場合
⑦内縁の妻や認知した子がいる場合などです

Q3.成年後見人制度とは?
A3.認知症、知的障害、精神障害の方々を支援するための制度で  す。具体例としては、後見人が
①遺産分割協議を行う
②不動産や預貯金を管理する
③不必要な高額な器具等の契約を取り消す
④介護などのサービスや施設の入所に関する契約を結ぶ
などです

Q4.相続税対策でアパートを建てたい
A4.1億円でアパートを建てると建物の固定資産税評価額は6000万円程度、さらに借家権30%を控除するので相続税上の評価額は4000万円ぐらいとなります。土地の相続税評価額も上がります。また、更地の状態よりも土地の固定資産税が大幅に軽減されます。

Q5.物納の事前準備について
A5.物納は、延納によっても金銭で納付することが困難な場合にしか認められません。また、申告期限(10ヶ月)までに測量図、境界確認書等を提出しなければなりません。工作物の境界などの問題もあり時間を要しますので事前準備が必要です。

(2)葬儀・四十九日

Q1.遺言書の検認について
A1.遺言書がある場合には、その遺言書(公正証書遺言を除く)を家庭裁判所に提出して検認を受けることとされています。検認の目的は、遺言書の偽造や変造を防止することにあります。

Q2.遺言と異なる分割の可否について
A2.受遺者全員が遺贈の放棄をすれば
未分割の遺産に該当することとなり、相続人全員による分割協議が行われることになります。相続人以外の人が受遺者となっている場合には、注意が必要となります。

Q3.遺留分について
A3.被相続人は自分の財産を遺言書によって自由に処分することが可能であり、例えば、全財産を相続人のうちの特定の人あるいは、相続人以外の第3者に遺贈するという遺言を書くことも可能です。しかし、相続人の利益保護の観点から、法定相続人のうち兄弟姉妹以外の相続人に保証された相続財産の確保に関する最低限の権利を遺留分といいます。

Q4.生前贈与について
A4.被相続人から生前に贈与を受けていた場合死亡前3年以内に行われた贈与は、贈与額を相続財産に加算して相続税額を計算します。ただし、贈与税の配偶者控除や平成21,22,23年の住宅取得資金の非課税措置の場合には加算されません。

Q5.相続時精算課税について
A5.生前贈与財産について2500万円まで無税とし、贈与した者が死亡した時には、それまでの贈与財産を3年以内のものに限らず相続財産に含めて計算する制度で生前贈与を促進するために設けられた。2500万円を超える贈与については超える部分の金額に20%の贈与税が課税されます。

(3)相続放棄または限定承認

Q1.相続の放棄について
A1.相続の放棄や限定承認は相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に申述しなければなりません。この期間が経過してしまった場合には分割協議に参加し、財産を全く取得しないとする遺産分割協議の作成を行えば実質的に法的な相続放棄と同様の効果があります。

Q2.未成年者について特別代理人の選任について
A2.被相続人(父)の分割協議にあたり、親権者(母)と未成年者(子)が共に相続人である場合、母と子の利益相反となるため親権者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。この場合の特別代理人の候補者は利益相反がなければ未成年者の親族(叔父や叔母など)で構いません。

Q3.相続分の譲渡
A3.相続人間のトラブルに巻き込まれたくない相続人がいる場合又は、分割協議に参加させたくない相続人がいる場合「相続分の譲渡」という方法があります。子A、子B、子Cが相続人である場合、子Cが子Aに相続分を有償又は無償で譲渡すれば法定相続分は子A 2/3、子B 1/3となります。分割協議書は子Aと子Bのみで作成することになります。

Q4.遺産分割協議書の作成について
A4.相続人間で分割協議の話し合いがまとまった時は、遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書は、後日の紛争を未然に防止するという目的のほかに不動産登記や相続税の申告にも必要となります。

(4)所得税・消費税の申告と納付

Q1.準確定申告とは?
A1.確定申告書を提出すべきであった被相続人が確定申告書を提出しないで死亡した場合又は年の中途で死亡した(相続人に確定申告義務がある場合には、相続人が相続を知ったその日の翌日から4ヶ月以内に確定申告書(準確定申告書)を提出しなければなりません。

Q2.相続人の青色申告承認申請書
A1.相続により事業を承継した相続人が青色申告を行いたい場合には、その承認申請を行う必要があります。この場合、被相続人が青色申告をしていたかどうか相続人が既に事業を営んでいたかどうかにより提出期限が異なります。準確定申告の提出期限とは一致しない場合があるので注意が必要です。

Q3.消費税の届出について
A3.課税事業者選択届出書や簡易課税制度選択届出書は原則として相続開始の年の12月31日までに提出すれば相続開始の年から適用されます。12月中に相続が発生した場合は、2月末までに特例承認申請書を提出すれば相続開始の年よりこれらの適用を受けることができます。

(5)相続税の申告と納付

Q1.遺産分割が調わない場合の取扱いについて
A1.配偶者の税額軽減制度と小規模宅地等の計算の特例は適用を受けることができません。3年以内に分割が調えば適用できます。また、納税猶予、非上場株式等の納税猶予の適用もできませんし、未分割遺産は物納することができません。

Q2.一時払いできないので延納をしたい
A2.申告期限までに延納申請書を提出しなければなりません。担保の提供が必要となります。延納期間と利子税の割合は相続財産のうちの不動産等の割合により異なります。延納から物納への変更は、申告期限から10年以内で一定の要件を満たせば可能です。

Q3.相続した土地を譲渡した場合について
A3.相続税の申告期限の翌日から3年以内に土地を譲渡した場合には、その相続人の相続税額のうち土地に対する相続税額をその譲渡した土地の取得費に加算して、その土地の譲渡所得のみ算出控除することができますので通常の譲渡に比べて有利です。

(6)相続財産の名義変更手続

Q1.預貯金の名義変更について
A1.遺産分割協議終了後に名義変更をする場合には金融機関所定の用紙、被相続人の戸(除)籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺産分割協議書が必要です。各金融機関により書式や必要書類が若干異なる場合もありますので事前に確認が必要です。

Q2.不動産の名義変更について
A2.被相続人の名義になっている財産については名義変更をしない限り、その財産を売却するなどの処分ができません。また、遺産を相続した相続人が亡くなったりすると相続人が増えて分割協議が困難になることもあるので早めに済ませてください。